7日目 蘭州 炳霊寺石窟

朝から雨が降っていた。セーターを持ってきていて正解だった。めちゃくちゃ寒い。今日一日、本当に炳霊寺に行けるのか、行ったはもののちゃんと帰ってこれるのかがとても心配で、私の心も朝からどんより。6:30にバックパックを担いで出発したベロニカを追うように、私も7:00に出発した。ホテルから西バスターミナルまでは5kmくらいなのだが、先日下見したときに30分以上かかったからだ。案の定道は混んでおり、到着したのは劉家峡ダム行きのバスが出発する10分前だった。

 

バスはこれでもか、というほどのオンボロバス。出発予定時刻を15分ほど過ぎてからおもむろに出発したが、時速10kmくらいで市内を巡回し始めた。どうやら街のあちこちからお客さんを集めよう、という寸法らしい。始めは5人くらいだったバスも、いつの間にか満席。市内をようやく出発したのは9:00を回ってからだった。すでにたばこと排気ガス、そして寒さで死にそうである。イライラが募るが、飴をなめつつマスクを装着した。マスクはSARSの為にあるのではなく、自分の喉を有害ガスから守るためにあるのだ!宿にもどってからマスクを見たら、ガスで真っ黒になっていた。中国のバス旅行を考えている方、マスクは必携である。

結局劉家峡ダムまで3時間かかった。ここから更に船で2時間。いやはや、まさしく秘境ツアーだ。さっそく船着き場で船が出ていないかを確認するが、シーズンでもないので連絡船のようなものはないらしい。一台をチャーターするしかないが、高速艇7人のりで350元かかると言われた。そんなお金はないので、ランクを落としいわゆる4人乗りスピードボート(200元)を借りることにする。\3000弱で往復6時間近くチャーター出来るのだから、日本の感覚でいけばかなり割安だが、今後の日程を考えると思わぬ出費だ。あーあ、しょうがない、とあきらめかけたその時、中国人カップルが現れた。二人も炳霊寺石窟へ行きたいのだという。三人で一台をシェア出来ることになったので本当に助かった。オマケに、帰りは2人が蘭州からチャーターしてきたタクシーに私も載せてくれるという。何とラッキー!!正直言ってここからどうやって帰ったらいいのだろうと途方に暮れていたところだ。バス停はどこ?何時にくる?と周囲の人に聞いても答えは全部違うし。朝からブルーだった私の心は一気に明るくなった。

さっそく三人でスピードボートに乗り込み出発。めちゃくちゃ寒い!!!バックパックに詰まっていたあらゆる服を5枚くらい重ね着していたのだが、話すことも出来ないくらい寒い。ボートで川を遡ること1時間半。ありがたいことに雨はやみ、日も差してきた。絶好の石窟日よりである。この辺りの黄河は青く、あたりの風景は神々しいほどに美しい。神のおわす場所、そんな奇岩が両側にせり出し、石窟へ導く。疲れも寒さも忘れて、見たことのない風景に目を見張った。


炳霊寺石窟

莫高窟(敦煌)、雲崗石窟(大同)、龍門石窟(洛陽)、麦積山石窟(天水)と共に、炳霊寺石窟は中国五大石窟の一つに数えられる。
黄河のほとりに切り開かれた炳霊寺石窟へ行くのは一日がかり。
朝の寒さ・雨はどこへやら、すっかり青空が広がってすばらしい光景だった。 岸壁付近にある出店。ここでお昼を頂きました。ちょっとした土産屋も。そんなに観光客が来るのかしら??
200近い石窟があるといい、河にそって約2kmに渡って彫られている。 莫高窟などに比べるときちんと管理されていない。美しい壁画も太陽の日にさらされている。
神様がすんでいる・・・、そんな不思議な世界が広がっていた。
ひときわ大きなこの大仏は、高さ27m!!いったいどんな気持ちで彫ったのだろう。
石窟だけでなく、周りの風景も最高。今回の旅で一番印象に残ったポイントだった!
青々とした黄河。他では見られない。これがトウ河と合流し、黄色い黄河となる。

行き方
揚子江の三峡ダムにつぐ発電量を誇る劉家峡ダムまでは、蘭州西バスターミナルから2.5〜3時間、片道11.5元(2004年5月)。そこでボートに乗り換えて1.5〜3時間。スピードボートで2時間弱。7人乗り高速艇はチャーター代350元、4人乗りスピードボートなら200元。税金が10元かかる。また、石窟の見学料金は30元で、プラス20元で英語ガイドがつく。



岸に上がると、石窟までの道中に小さな出店が並んでおり、お客さんがほとんどいないのに営業していた。こんな所にお客さんが来るとは信じられないが、来客の大半がツアーで大きな高速艇をチャーターして来る人なのだろうと思う。一緒にボートに乗ってきたおじさんがその出店の一つで麺を注文してくれた。既に13時を回っておりお腹が空いていたので、本当においしかった。面片(メンピェン)というもので、屋台のおじさんが小麦粉を練って丸めたものから指で引きちぎり、それをスープに入れる。心も体もほっかほかになる一品だった。

石窟は川のほとりに作られたようだが、今は乾期のためか川が枯れていた。ほとんど観光客のいないそこは、信じられないくらい静かだ。切り立った崖に大きく彫られた仏様が私たちを見下ろす。その大仏を中心にたくさんの石窟が彫られ、荘厳な雰囲気だ。長さ約2kmに及ぶこの石窟群のほとんどが唐代のものだという。

たっぷりと石窟を堪能した私たちは船に戻り、再び2時間近くかけて川を下った。上流は青い黄河だったのに、途中から黄濁したトウ河とぶつかりいわゆる"黄河"になる。そのぶつかっている場所がわかるほど、水の色は2色にはっきり分かれている。

約束通り、中国人のカップルは私を蘭州の駅へと連れて行ってくれた。本当に嬉しかった。今日中に帰れないかもしれない・・・、と心配していた炳霊寺への旅は彼らのおかげで、無事終えることが出来た。彼らはタクシー代を受け取ることなく去っていった。親切な中国人に出会えたこの秘境への旅を、私は忘れることがないだろう。



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